第3回目の見学は、10月12日(火)に「ちゅんちゅんこども食堂すずめのす」さんを訪れました。
雀の宮中学校の近く、やきやきやさんの隣で
第2・4火曜日に午後5時半~8時まで開催しています。
予約は不要で、利用料金は募金箱に入れるシステムです。
こども食堂を開いたのは2018年12月11日。
子どもの貧困は今の子どもの問題だけでなく、その次の世代へと連鎖してしまう。
貧困の連鎖を止めたいという想いがありました。
行政としてのサポートがなかなか進まない状況に、「それなら自分でこども食堂をやってみよう!」となったそうです。
とはいえ何をどうしていいのやら・・・
そんな中2018年の春にこども食堂サポートセンター・とちぎが開催した「こども食堂をやってみよう!」という子ども食堂運営体験イベントに参加。
食材選びから調理まですべてを体験、実際に近所の子どもたちが来て、食べてもらうこともでき、このことが大きなきっかけとなりました。
まずは物件探しについてー
地元の雀宮でやりたい!と思い、空き家を探したけれど、調理場や飲食スペースの確保を考えるとなかなか適当な物件が見つからなかったそうです。
そんな時に、うわさを聞いたマンションのオーナーさんが元々スナックだった1階を貸してくださることに。オーナーさんの息子さんや全建総連さんがボランティアで照明や換気扇、壁紙などの内装をしてくれたそうです。
利用料金を募金制にしている理由について―
他のこども食堂を参考に、当初は大人500円/子ども300円と設定しました。
しかし、やっているうちに「本当に困っている人にとってその金額は、大変なのでは?」と思うようになったそうで・・。とはいえタダでは”申し訳ない、支援されている”という気持ちになり、利用ハードルが上がってしまう。
10円チケットを作るなど、色々やっていくうちに「募金でいいんじゃない?その時のお財布の状況でお気持ちを入れてもらえば!」という考えに落ち着いたそうです。
今は、入り口にあるチケット(おとな、こども、未就学児)と一緒に募金を入れてもらうシステム。お金を入れたかどうかは見えないようになっています。初めて来た方のみ登録用紙を書いてもらっているそうです。
コロナウイルスによる緊急事態宣言時には、食堂を臨時休業。お弁当に切り替えて運営していました。
通常の営業時は30人前後のご利用だったのが、お弁当の時には、密を避けたいとの理由で食堂の利用を控えていた人からも注文が多くあり最も多い時は100食を超えたそうです。
また、「配達でお母さんたちの時間が少しでも増えれば」という思いから、多い時には80食のお弁当を、なんと一人で配達されていた時もあるとか!
取りに来た人にはくじ引きでお菓子を渡したり、配達におまけをつけたり、コロナ禍でも子どもたちの楽しみと関わりをとても大切にされていたことがよく分かります。
そんなちゅんちゅんこども食堂さん、こだわりのメニューは・・・
まず、お肉を必ず入れること。そして、温かいものを提供すること。
『心が弱ってしまうときにこそ、温かい物を食べて、心も体も温まってほしい』と、
ちゅんちゅんこども食堂にはホテルなどで使用される、食事を保温できる容器が並び、
いつでも温かいまま提供できるようになっていました。
最後に、子どもの好きなメニューを1品入れること。
「選べる楽しみを作りたい。子どもたちが楽しみに来て、“今日、食べられる料理ないや・・”とならないようにしたい。まぁ大体全部取ってくれるんだけど(^^♪」と話してくださいました。
この日も麻婆豆腐や煮物、ハムの春巻きなどメニューがたくさん!子どもたちは料理を楽しそうに取っていました。
子どもたちは食事が終わったら、食堂からすぐの公民館で遊びます。
滑り台やボールプールなどたくさんのおもちゃで充実!
時にはスポーツチャンバラで戦うことも!戦い中にこども同士で、上の子が下の子を守ることもあるそうで、遊びからも思いやりが生まれていくのですね。
子どもが遊んでいる間、親御さんとコーヒーブレイクをすることもあるみたいですよ!
子どもたちが遊ぶ隣のスペースや食堂でゆっくりお話をすることもできます。
実は、食堂・遊び以外にも行っていることがあるそうで。。。
昨年は学習支援を行い、中学3年生が2人、受験対策でほぼ毎回通ってくれていました。
「数学が嫌いで美容師になりたいと言っていた子が、数学を教えてもらううちに好きになって、薬剤師になりたい!と言ってくれて嬉しくなりました☆」とちゅんちゅんさん。
今は利用者がいない状況ですが、教える準備は整っているとのことでした!
季節ごとにハロウィンやクリスマスのイベントも。
去年のクリスマスは、60名を超える参加希望があったため、
密を避けるために雀宮地区市民センターの大ホール(定員200名)を借りたとか!
「一般的な家庭の子どもが体験する季節行事や家族旅行、誕生日祝い等の体験が欠如する子どもは自己肯定感が下がると言われています。
この状況を何とかしたい!というのもこども食堂をやろうと思った理由の一つです。」と教えてくださいました。
子ども食堂を支えてくれる人についてー
食材は、企業や団体、地元の農家さん等から野菜やお米、果物などを寄付してもらうことも多いそうです。
おいしい料理を作って下さるボランティアさんは、主婦の方が多いですが、働きながら空いている時間にお手伝いしてくれる方や大学生もいらっしゃいます。
現在登録しているボランティアさんは16人!3回ボランティアをすると正登録となります。
調理が5~6人、こどもたちと遊ぶ大人が3~6のボランティアさんで1回の食堂が運営されています!
あるボランティアさんは、「1か月に1回のみの参加ですが、細く長く続けていきたいと思っています。みんなの雰囲気がいいので続けていけています。」と話してくださいました。
「ここはボランティアさんの居場所でもある」という思いから、参加希望のボランティアさんの人数がオーバー気味になる日でも極力全員に参加してもらい、苦手な作業があってもボランティアさん同士助け合いながら取り組んでもらっているとのことです。
利用者の方だけでなく、ボランティアさんのことも、とても大切になさっていることが伝わってきました。
こども食堂を運営している中でのお困りごとは・・・
『毎回来てくれるボランティアさん(レギュラーメンバー)の確保』だそうで、大学生の試験や就活時期にはボランティアが少なくなるのだとか。
「また、今は調理と子どもと遊ぶボランティアが別々のケースが多いのですが、両方参加できる人が増えたら助かります。」ともお話してくださいました。
今後についてー
「今たくさん来てくれている未就学~小学生の子どもたち以外にも、
中学生や高校生も来てくれるようになって、多世代交流の場になると嬉しいな」とお話しいただきました。
見学・インタビューを通してー
ボランティアさんが調理している様子を見学させていただき、にぎやかで明るい雰囲気で、楽しそうでした☆
ちゅんちゅんこども食堂すずめのすの料理がおいしいわけは、調理のボランティアさんの仲の良さにあるのかもしれません。
見学させていただいたのが緊急事態宣言明け最初のこども食堂でした。開店になるのを心待ちにしていた方でいっぱいでワイワイしていました♪
子どもたち、その親御さんに「押しつけがましいことはしたくない。ただ相手のために何かできることがしたい。」という想いは、こども食堂を始めてから今まで一度も変わっていないのだと実感しました。
お忙しい中、たくさんお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました!
みなさんもぜひ「ちゅんちゅんこども食堂すずめのす」で温かくて作り手の思いがたっぷりこもったおいしいごはんを食べましょう♪
(作成者 原まりや)
ちゅんちゅんこども食堂すずめのす
開催日時:第2・4火曜日17:30~20:00
利用料:任意の寄付制(お支払いの確認はしていません)
住所:宇都宮市高砂町25-15
連絡先:028-601-5052